機械工学科 准教授 桑原 一成
2007年4月1日付けで本学機械工学科に准教授として着任致しました、桑原 一成で御座います。内燃機関研究室を、その前身である熱流体研究室の伝統を基盤として立ち上げ、内燃機関に関する工学と技術を通じて卒業論文研究の指導に当たっております。また、熱力学(工業熱力学Ⅰ)、製図学、機械工学実験(熱伝導率測定)、内燃機関及び内燃機関特論の授業を担当しております。

着任前、三菱自動車工業株式会社で約18年間、通常のガソリン機関とディーゼル機関に加え、予混合希薄燃焼ガソリン機関、直噴ガソリン機関、次世代の機関と期待される予混合圧縮着火機関、すなわちあらゆる自動車用機関のシリンダー内現象に関する研究に携わってきました。シリンダー内の流動・乱れ、燃料と空気の混合、点火・着火、燃焼の特性を解明し、これらの現象を最適に設計・制御するための基本的なコンセプトを考案し、その妥当性に検討を加える役割を果しました。このために、これらの現象を対象とし、レーザーや光電子変換技術、画像計測技術を利用した様々な光学的計測法を確立しました。結果として、直噴ガソリン機関の実用化に世界で始めて成功する、という貴重な経験を収め、また研究の一部を纏め、学位を取得することができました。

この間、新入社員の登用論文研究を指導する機会に恵まれ、教育者としての達成感らしき感覚を覚えたことが、教育機関への転職を決心する切っ掛けとなりました。企業の研究者として会社への貢献を前提とし、すなわち比較的短期間で有益な結果を上げることを第一としながらも、当時の上司から、競争者を大学や他の研究機関の研究者と位置付け、客観的に新規性や独創性も高い研究を企画するように指導を受け、問題解決能力と研究企画力を養ってきました。

これらの経験や知識、内燃機関という魅力的な教育・研究材料に基づいて、学生が主体的、積極的に工学に取り組める環境を築き、彼らを良質な謎、有意義な課題に向い合わせ、企業の技術者として要求される能力や競争力の基盤を育成していきたい、と考えます。これによって、本学機械工学科の益々の発展に微力ながら貢献していければ、と考えます。将来、卒業生に同学の士として再会することを夢見て、試行錯誤の日々を過ごしております。今後ともご指導、ご助言の程宜しくお願い致します。