機械工学科講師 廣井 富
同窓会の皆様、2009年4月1日付けで機械工学科講師に着任致しました廣井富と申します。生活支援ロボットシステム研究室の学生の指導とメカトロニクス、電気工学概論、エンジニアプラクティス、機械情報工学演習、機械基礎ゼミナールを担当しております。
私は学部生時代に様々な種類のロボットコンテストに参加し、「ものづくり」の楽しさと難しさについて多くの経験を得ました。その経験が次に述べます大学院生時代の研究・開発に役立ちました。大学院生時代のとくに博士後期課程に私は被介護者の日常生活支援を行うサービスロボットの研究・開発に携わる機会をいただきました。私の役割は、ロボットの全体システムの構築と研究者達をまとめることにありました。ロボットには被介護者の所へ水などの飲み物を運ぶこと、ゴミを捨てること、カーテンを開け閉めすることなどの機能を実装し、これらの機能の選定は、「現場」の意見を反映して決定しました。ロボットの開発には音声やビジョンのような様々な要素技術が必要で、複数の研究室が協力し実現しました。

その後、助手に任用され複数の大学を経て本学に着任しました。その間に行った教育事例を挙げますと、一年次を対象にしたロボットコンテストがあります。まずは理論よりも試行錯誤でロボットをつくらせることで「ものづくり」の楽しさを体験させました。前期は車輪移動型ロボットの基礎(たとえば、ギア比の知識)や機械加工技術の習得、後期はロボットが段差を乗り越えるために必要な重心の位置の概念、タイヤの摩擦の必要性、アームやハンドの基礎知識など、メカトロニクスの基本が自然に身に着くようにルール設定を行いました。とくに競技型にしたことにより、お互いに勝とうとする意識、すなわちやる気の向上が図れました。

座学に関しては、実物を持ち込み、講義を行っています。実物に触れることで、そのものの動きのイメージや仕組みの理解の助けになればと考えています。卒業研究生に対しては、「ないものは、つくる」、「ないものを、つくる」ように指導しております。前者は、単にものを購入して済ませるのではなく、つくれるものは自作することを示します。これは、問題解決能力の向上につながると考えています。後者は、研究者であるからには新しいことに挑戦しようという意味です。また、実際に「人の役に立つものをつくる」ように指導しております。研究に終始するのではなく、常に実用化を意識した「ものづくり」をするという意味です。最後に、「現場を大切にすること」と指導しております。多くの場合、大学の研究室内だけでは、実際の現場で起こっている事象に対応しきれません。その現場に行き、体験することでその問題点がわかり解決策が見えてきます。
学生達と共に「ものづくり」を楽しみ、学び成長したいと思います。若輩者ではありますが、宜しくお願い申し上げます。