機械工学科教授 中川 邦夫
同窓会の皆様、2010年4月1日付けで機械工学科教授に着任致しました中川でございます。宜しくお願い致します。新たに自動車工学研究室を立ち上げ、持続可能な社会に対応する次世代自動車や自動車車体に係わる燃費向上技術などの研究を通して、卒業研究の指導を行うとともに、自動車工学、エンジニアリングプラクティス、機械工学実験(水力実験)の授業を担当しています。
北海道大学大学院修了後、三菱自動車工業株式会社に勤務し、ほぼ24年間、開発部門において車体の熱・流体に係わる研究開発や実験部門のマネージメントに従事してきました。2002年4月、芦屋大学(兵庫県芦屋市)に招聘され、以後、文科系学生に自動車工学を教えるとともに、芦屋大学ソーラーカープロジェクトの代表として競技用ソーラーカーの研究・開発とレース活動を指導してきました。当該プロジェクトは、最近の学生気質に鑑み、目的意識の醸成と達成感の体験、団体活動の体験と組織活動の学習、環境・エネルギー問題意識の醸成、もの作り体験と工学的興味の醸成、さらには自動車性能・構造の実践的学習などを教育目的に活動してきましたが、この8年間でチームは国内最大のソーラーカー競技会、ドリームカップソーラーカーレース鈴鹿で4連覇を含む6回の総合優勝、海外の競技会においても3度の優勝を獲得し、現在では国内最強、世界でも5強に数えられるまでに成長しました。また、このプロジェクト活動の中で、参加した学生が驚くほど多くを学び、成長していく姿を目の当たりに見ることができ、座学では出来ない実践的なプロジェクト教育の重要さを実感しました。

近年、大学教育は産業界の要請に応えていない、期待と乖離しているなどの声を多く聞きます。この声に応えるべく、現在、大学では産業界が大学卒業生に期待・要請する能力は、即戦力ではなく、汎用性のある基礎的な能力、いわゆる学士力や社会人基礎力であると認識し、教育改革を行っています。本学においても前述したエンジニアリングプラクティス(産業界での実務を模擬し、企画、設計、もの作りの一連の作業をグループで行う実践的な授業)を始めとする特徴ある授業や、ものづくりセンター(モノラボ)におけるプロジェクト活動などの種々の教育改革に務めています。

本学着任前の3年間、非常勤講師、客員教授として先端技術論、自動車工学の授業を担当していましたので、本学学生の資質、気質はある程度理解しているつもりです。本学が目指す改革の方向を踏まえ、企業勤務経験や前任大学での教育経験などを生かし、もの作り教育やプロジェクト教育などを通して、産業界の期待に応えることの出来る学生を送り出したいと考えています。

同窓会の皆様、機械工学科、工学部ひいては本学の益々の発展に貢献できるよう、微力ながら努める所存ですので、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い致します。