フォーミュラプロジェクト活動のご報告[2012]

機械工学科 准教授 桑原一成
ものづくりセンター 小川直樹

全日本学生フォーミュラ大会は、学生が自らフォーミュラカーを構想、設計、製作し、その走行性能だけでなく設計、技術、コスト、プレゼンテーションまで含めたものづくりの総合力を競うものです。我が国の自動車産業の将来を担う人材を育てるため、産学官民連携の支援のもと公共事業として運営されています。このためメディアへの露出度は必ずしも高くありませんが、各メーカーは無償または安価でパーツを提供したり、大会では各メーカーから派遣されたその道のプロがボランティアでスタッフを務めたり、といった自動車業界の全面的な支援からその本気度が伝わってきます。学生にも本気で取り組むことが求められます。毎年9月上旬に開催される大会に照準を合わせ、毎回新たに厳しいレギュレーションに適合したマシンを設計、製作しなければなりません。このためには、ものづくりのノウハウ、自動車のテクノロジーの全てを修得することが求められます。また、各数百ページにおよぶ設計レポート、コストレポートを提出しなければなりません。競技は静的競技と動的競技に分けられ、静的競技はコスト、プレゼンテーション、設計、動的競技はアクセラレーション、スキッドパッド(8の字コースタイムアタック)、オートクロス(サーキットコースタイムアタック)、エンデュランス、燃費の各競技によって構成されています。80校を超えるチームが参加し、各校特色あるマシンがエキゾーストノートを響かせてサーキットコースを攻める光栄はプロのレースさながらです。

これまでの結果は以下の通りです。着実な順位アップを果たしてきましたが、期待されているものからはほど遠いというのが現実です。結局、マシンの製作が大会直前までずれ込んでしまい、いざ本番で主要パーツの不具合が露見する、という失敗を繰り返してきました。

■2008年度第6回大会
初参加。四輪ブレーキロックという基準を満たせず車検通過ならず。エントリー77校、総合順位62校中56位。
■2009年度第7回大会
後輪ハブのスプライン舐めにより動的競技に進めず。エントリー80校、総合順位63校中63位。
■2010年度第8回大会
動的競技に進むも、前輪ハブベアリングのがたつきによりリタイア。エントリー85校、総合順位70校中48位。
■2011年度第9回大会
競技を順調にこなし、完走と好成績を期待するも、最後のエンデュランスでオーバーヒートによりリタイア。エントリー87校、総合順位75校中37位。

現在、第10回大会への参加に向け、機械工学科4年生3名、3年生2名、2年生5名、1年生3名、電気電子システム工学科2年生2名、1年生1名、電子情報通信工学科4年性1名の計17名の学生が、マシンの製作、各レポートの作成、スポンサーの獲得に追われる忙しい日々を送っております。学生がこれらの活動を通じて見る見る成長していく姿を見守るのはそれだけでも楽しいものですが、本年度のチームの活動内容は一味違います。これまでの失敗を教訓としたスケジュール管理、これまで培ってきたノウハウ、テクノロジーによりマシンの製作を3カ月前倒しにすることに成功しており、十分にテスト走行と不具合対策を行い、準備万端で本番に挑むことができる見込みです。5年目のチャレンジにしてようやく、大会発足当初から参加し続け毎回上位争いに加わる強豪校と互角に競い合うためのテクノロジーとチーム体制が整ったもの、と見ています。本年度の大会が楽しみです。

同窓会の皆様におかれましては彼らの活動を暖かく見守り、今後ともご支援、ご協力頂けますようお願い申し上げます。次回、飛躍的な順位アップという喜ばしい結果をご報告できれば幸いです。