人力飛行機プロジェクト[2011]
小池 勝
大阪工業大学人力飛行機プロジェクトは、毎年読売テレビが主催、放映する「鳥人間コンテスト」に出場し、好成績を達成することを目標に活動している。
大阪工業大学は1988年の滑空機部門出場から始まり計9回の出場経験があり、2008年の第32回大会ではフォーミュラ滑空機部門で優勝を果たした。その後人力飛行機タイムトライアル部門を目指し、初めてのプロペラ人力飛行機の製作を開始した。2009年の鳥人間コンテストは世の中の不況の影響を受け、大会が中止となった。2010年の第33回大会は岩谷産業がスポンサーになり開催されたが、大阪工業大学は書類審査で不合格となり、出場はできなかった。不合格の要因は、当大学にとってプロペラ機の製作は初めてのことで、設計、製作が手探り状態で、完成度が低かったことであった。タイムトライアル競技は、500mの距離を往復しその所要時間を競うもので、速度とともに、スムーズな旋回飛行の技術が要求される。
2011年7月に開催される第34回大会は、申し込みは2月にあった。4月に書類審査の結果が発表され、大阪工業大学はまたしても不合格となった。今回は飛行機の完成度も高く、あと1か月で完成、試験飛行という段階までこぎつけたが、残念な結果となった。不合格の要因は第1に作業の進行遅れである。書類審査の段階で、試験飛行をし、好記録がねらえることを訴求すれば合格の確率ははるかに高かった。作業の遅れの要因は、経験豊富な指導者がいるとはいえ、作業の主体は経験のない学生であり、作り直しが多かったことが大きい。飛行機特有の問題として、翼などの形状が不正確であったり、カーボン部材の接着補強が不十分であれば、「飛ばない」では済まなくて、墜落、負傷、作り直しという結果が待っていることである。まともに飛ぶ飛行機を作るだけでかなりハードルが高いものである。もうひとつの要因は、大会出場枠の減少(10→8チーム)と、タイムトライアル部門への応募の増加である。
さて来年出場するための戦略であるが、まずは試験飛行や機体の改良を重ね、上位入賞の記録を狙えるレベルにもっていくことである。それでも他チームがレベルアップすることを想定すると、出場できる保証はない。今後は群を抜く性能や、新規性のあるデザイン、構造を追及していく。これをチャンスと捉え、全力を尽くす所存である。
下の写真は、胴体と主翼を仮り組みしているところ