新カリキュラムの紹介

機械工学科同窓会学内幹事 井原 之敏

西川機械工学科長の挨拶文でも紹介しておりますが、2006年度より新しいカリキュラムを開始しました。その一番の特徴は2コース制をとったことで、「実践コース」と、JABEE対応の「発展コース」からなっております。両コースとも従来からのカリキュラムと同様に、1年次から共通科目(教養科目)と並行して専門科目を配置することにより、早い時期から専門科目に触れ、機械工学に興味を持てるようにしてあります。また、1年次から3年次までの各学年に実験または実習を組み込み、実験装置等に実際に手で触れることで工学的素養を身につけられるように配慮しております。このように、従来のカリキュラムと比較して大幅に変更はしておりませんが、できるだけコースの特徴を出すよう工夫しました。以下に各コースの特徴を記します。

■実践コース
機械工学の基礎知識、特に設計に必要な力学を、演習をも履修することで、当初2年間で完全に習得するとともに、機械設計や3次元CADおよび情報処理やCAEに必要な知識を得ます。実習・実験を通して実際的な技術を身につけ、機械設計において企業の即戦力となり得る人材を育成することを目的としています。

■発展コース
自然科学の基礎(数学や物理)、機械工学における主要な科目(材料力学、流体力学、熱力学、機械力学)を座学で学びます。また、実際に測定器などに手で触れて実体験から機械工学の基礎を学ぶための実習・実験を行います。これらを習得しつつ、グループで企画・設計・加工・組立て・分解から評価までの一連の流れを体得し、デザイン能力を身につけるために準備されている「エンジニアリングプラクティス」に主体的に参加してもらいます。このコースは創造性豊かな研究・開発部門を担える人材の育成を目指しておりますが、このような人材には工学的倫理観が必須です。また、これからは文化や言語が異なる人々と意思疎通や情報交換をする必要があるので、「工学コミュニケーション英語」の履修が義務づけられます。さらに高度の専門教育と研究活動を希望する者には、大学院に進学することを奨励します。

両コースとも必修科目が増えております。発展コースにおいてはJABEEの要件となるため必修科目が増えるのは必然であり、バランスをとるため実践コースにおいて「3次元CAD演習」や「機械工学演習Ⅰ~Ⅳ」などの演習科目を必修としました。

■機械工学科 専門科目表


授業科目 単位数 履修年次 発展
コース
実践
コース





微積分Ⅰ・同演習 3 1前
微積分Ⅱ・同演習 3 1後
線形代数学Ⅰ 2 1前
線形代数学Ⅱ 2 1後
微分方程式Ⅰ 2 2前
微分方程式Ⅱ 2 2後
基礎情報処理 2 1
応用数学Ⅰ 2 3前
応用数学Ⅱ 2 3後
力学Ⅰ 2 1前
力学Ⅱ 2 1後
物理実験 2 1

機械基礎ゼミナール 1 1前
機械工作実習a 2 2前
機械工作実習b 2 2後
機械工学実験 2 3
機械情報工学演習Ⅰ 1 2前
機械情報工学演習Ⅱ 1 2後
計算力学J,Z 2 3前
確率・統計J,Z 2 2,3
先端技術論J,Z 2 4
機械工学演習Ⅰ 1 2前
機械工学演習Ⅱ 1 2前
機械工学演習Ⅲ 1 2後
機械工学演習Ⅳ 1 2後
エンジニアリングプラクティスⅠ 2 3前
エンジニアリングプラクティスⅡ 2 3後
工学倫理 2 3
工学コミュニケーション英語 2 3
特別講義





製図学 2 1前
CAD/CAM概論 2 1後
設計製図Ⅰ 1 2前
設計製図Ⅱ 1 2後
設計演習a 2 3前
設計演習b 2 3後
3次元CAD演習 2 3
機械製作法Ⅰ 2 1後
機械製作法ⅡJ,Z 2 2後
機械設計法J,Z 2 2前
生産管理工学J,Z 2 3後
生産システムJ,Z 2 3前
機械材料J,Z 2 2後









材料工学 2 1前
材料力学演習J,Z 1 1後
材料力学ⅠJ,Z 2 1後
材料力学ⅡJ,Z 2 2前
構造力学J,Z 2 3前
固体力学J,Z 2 3前
材料強度学J,Z 2 3後
機械力学J,Z 2 2前
振動工学J,Z 2 2後




熱力学J,Z 2 2前
熱工学J,Z 2 2後
流れ学J,Z 2 2前
流体力学J,Z 2 2後
流体機械J,Z 2 3前
内燃機関J,Z 2 3前





計測工学J,Z 2 2前
センシング工学J,Z 2 3後
電気工学概論J,Z 2 3前
基礎電気回路J,Z 2 3後
基礎制御工学J,Z 2 3前
メカトロニクスJ,Z 2 4前
ロボット工学J,Z 2 3前
システム制御理論J,Z 2 3後
インターンシップ 2 3
★ 必修科目単位数合計 46 39
☆ 選択必修科目単位数合計 14 4

冒頭の小山同窓会会長の挨拶文にもありましたが、JABEEの審査項目として、
● 伝統、資源および卒業生の活躍分野等を考慮して、特色ある学習・教育目標が設定され、公開されていること。
● 学習・教育目標が社会の要求や学生の要望を考慮して設定されていること。
● 教育点検システムは、学習・教育目標の設定、学習・教育目標達成度の評価方法・評価基準等の適切さを社会の要求や学生の要望に照らして点検できるように構成されていること。また、実際にそれらの点検が行われていること。
● 教育点検システムを構成する会議や委員会等の恒常的な活動記録が開示されていること。

などが含まれております。他大学の例ではこれらの項目は同窓会組織を利用して行っているようです。同窓会員の皆様には上記の教育点検をお願いすることがあるかと思いますが、どうかご協力よろしくお願いいたします。また上記新カリキュラムで不足する科目や項目、無駄と思われる科目や項目等がございましたらぜひお聞かせいただければ幸いです。