JABEEプログラムの現状報告[2016]

JABEEプログラム責任者 井原之敏

同窓会の皆様におかれましてはお元気でご活躍のこととお慶び申し上げます。2006年度から実施しております日本技術者認定機構 (JABEE) 対応プログラムについて現状を報告させていただきます。

2003年度に当時の北條教授のもとでJABEEプログラムの導入の可能性について調査を開始しました。その結果、2006年からJABEE対応(発展)コースと、非対応(実践)コースの2コース制をとって教育をすすめてまいりました。2コース制は他の私学でもJABEE対応をしているところで多く見られる形態ですが、本学機械工学科ではJABEE対応の発展コースを選択する学生が多いのが特徴です。機械工学科の学生は、1年次終了時にどちらのコースを選択するかの希望を提出し、それを最大限に尊重してコースを決定しています。

発展コースでは、3年次に「エンジニアリングプラクティス」を必修科目として履修しています。発展コースを特徴付ける科目であり、昨年秋に3度目の審査を受けましたが、いずれの審査員も感心するほど充実した内容となっています。また、「工学倫理」や、「工学コミュニケーション英語応用」といった科目も必修となっております。いずれも現代社会にて技術者が身につけなければならない能力を習得するための科目です。

2009年に最初の審査を受け3年間の認可を得、2012年中間審査を受けさらに3年間の認可を得ました。2015年11月(昨年秋)には継続審査を受けまして、3年間の認可を得ております。JABEE対応プログラム(発展コース)を卒業した学生は最初に卒業した2009年度(2010年3月卒業)から直近の2016年3月卒業時点で7年間で621名となり、1年間に90名弱の「技術士補」と同格の資格を得た学生が卒業しています。JABEEプログラムの卒業生は技術士1次試験の受験が免除されますので、将来技術士2次試験を受験して「技術士」を目指すのに有利になります。

大阪工業大学全体としましては、情報科学部、工学部都市デザイン工学科が、機械工学科より先にJABEEを受審し認可を得ておりますが、電子情報通信工学科が本年度秋に受審予定となっております。

卒業生の皆様からご意見ご要望を頂きカリキュラムに反映するための「社会・学生の要請検討会」は毎年2月末から3月にかけて開催しております。この会合では、卒業生だけでなく、一般の社会人や在学生から機械工学科の教育に関してさまざまなご意見をいただける貴重な場となっております。また上述の「エンジニアリングプラクティス」につきましても、企業で実務をされている方々に設計・製図を指導していただいており、卒業生にもご協力いただいております。学生たちにはここで指導を受ける体験が非常に好評となっております。

JABEE非対応である実践コースですが、「機械設計技術者3級」の合格を目指した演習科目を2015年度から2年次・3年次に実施しております。試験自体の合格率は3割台であり、技術士1次試験の合格率約6割よりかなり合格が難しい試験となっておりますので、学生たちが次々に合格してくれることを願っております。