大学の近況(川田 裕)[2011]

工学部長 川田 裕

同窓会の皆様、工学部長の川田です。昨年から学園の理事も拝命して学園内の連携推進を強化する役割を仰せつかっております。
現在の大学が置かれた環境は、大学受験人口が1992年の120万人から2007年~2011年の70万人へと減少しましたが、今後8~10年程度は軽微な減少を示しその後急激に減少することが確実視されています。そのため限られた時間内で確固たるブランド力の確立が急務となっています。現在ブランド力向上に向けた各種取り組みを行っており、成果として入試の志願者および偏差値が大学全体でこの3年間連続して上昇するとともに入学後の基礎力確認試験の結果からも得点の上昇傾向が明確になりました。この結果は本学の教育目標である「実践的なエンジニアの育成」が社会的に真価を認められるとともに、機械科をはじめとする全教職員の努力によるところが大きいものと考えます。

工学部長就任以来、工学部のブランド力向上を最重点課題として取り組んできました。本大学で欠けていたのは大学の魅力の発信であり、その対策として、各種フェアの開催、モノラボプロジェクト活動の充実、一般も対象にしたフォーラム(テクノフォーラムなど)の開催、学生の母校訪問、OITキャンパスエコプロジェクト、各種イベントへの参加、等を通じて対外的な魅力の発信を行ってきました。

特に工学実感フェア、工作・実験フェアやモノラボ主催のキッズものづくり道場などのイベントでは近隣の親子連れが多数来学し、ものづくりへの取り組み、大学の施設、学生の対応に好印象を持って頂いています。理科離れの防止のための社会貢献活動としての意義とともに、大阪工業大学に対する近隣の方々の評価の著しい向上が報告されています。モノラボは大学の大きい魅力のポイントに成長するとともに、学長裁量予算で始めたモノラボプロジェクトは開始後3年が経過して、別途説明がありますように早くも多くの成果が上がり始めました。

OITキャンパスエコプロジェクトでは食堂から出る廃棄物を利用して発電することにより、持続可能な循環型社会のモデルを学生の教育に取り入れようとするものです。これには環境、電気、応用化学とともに機械からは桑原先生に参加いただいており、機械工学実験にエンジンの性能計測を反映頂きました。今後これを更に拡大して電気自動車、植物工場、なども取り込む予定です。

大阪工業大学は大阪駅に近いという良い立地条件を有するものの、狭隘であり一部の建物は古く耐震面での不安もあるため環境の改善が必要です。本年度は西中庭のコンビニや生協跡地の学生交流スペースの建設が予定されています。また新3号館として新しい校舎の建て替えも本部にお願いしているところで、継続的な改善を行います。

機械科は工学部の中で電気、建築とともに最も重要な地位を占めており、毎年多くの志願者を集めますが、残念ながら肝心の一般入試で合格しながら他大学に逃げる割合が全学で最も高く、受験人口減少の影響をまともに受ける可能性があります。これを克服するために更にJABEEで導入した教育システムのブラッシュアップおよび学生の成長を最大化する魅力ある教育への真摯な取り組みが必要と考えます。

同窓会の皆様には現在の大阪工業大学の取り組みを温かく見守っていただくとともに、機械科のエンジニアリングプラクティス(創造デザイン科目)やキャリアデザインなどの授業科目やソーラーカーをはじめとするモノラボのプロジェクト活動への暖かいご支援をお願いしたいと思います。